TOC理論(その1)


■今回は、TOC(ティーオーシー)の理論(その1)についてお話したいと思います。

1979年に「JAPAN AS NO1(ジャパンアズナンバー1)」という本が発行されました。

その頃の日本は、絶頂期で、海外から羨望のまなざしでみられていました。

アメリカでも同様で、今後日本に勝つにはどうすればよいかさかんに議論されていました。

その後、日本はバブルがはじけて、景気が失速しましたがアメリカは復活しました。

その、アメリカ復活の秘密兵器として登場したのがTOC理論です。

■皆さんは、TOCって聞いたことがありますか?

最近、サプライチェーンのソフトは、いくつかの会社が作っていますがそれらのソフトは、このTOCの理論を使用していると言われます。
(使いこなすのは結構大変です。)

SCM(サプライチェーンマネジメント)のSCP(サプライチェーンプランニング)というサブシステムです。

目的としては、在庫を最小にすることができます。

■では、TOCとは何でしょうか?

TOCとは「Theory of Constraints」 の略です。
日本語に翻訳すると、「制約条件の理論」と呼ばれています。


これは、イスラエル人の物理学者の、エリー・ゴールドラット博士が、25年くらい前から開拓してきた
システム改善の方法論です。
この考え方が、サプライチェーンのソフトに入っています。

これで、アメリカが復活したといわれています。

TOCは「全体最適化のためにフォーカシングする手法です」

■まだ良く分かりませんね。

■わかりやすい例で説明したいと思います。

時々、テレビで、小学生対抗で、2人3脚より多い、30人31脚という競技がありますね。
見たことがありますか?

この中に、2チームあったとします。
  • 1つが、「30人全員が、小学6年生」のチーム、
  • もうひとつが、「29人が小学6年生で、1人が小学1年生」のチームです。

この2つのチームが競争したと仮定します。

どちらが勝つでしょうか?

わかりますね。30人全員が、小学6年のチームですね。

では、もうひとつのチームが勝つにはどうすればよいでしょうか?

29人の小学生6年を中学生に変えますか?

でも、それでは駄目ですね。なぜですか?

小学1年生が遅いから?。

そうですね。ではどうしますか?

小学1年生を6年生に変えます?

■では、なぜそう思いましたか?

皆より遅いから? 皆の足を引っ張る?

そうですね。

■ここが大事なのです。

皆さんは、
「この小学1年生、この人が早く走ることができれば全体のタイムが良くなります」
そのために、小学1年生を6年生に変えようと考えたわけです。

この全体のタイムが「全体の最適化」で「そのためにフォーカスする」というのは、この小学1年生に
注目して改善することです。

全体が良くなるには、全体のことを考えないといけないということです。

イメージが少しわいてきましたか?

■実際の企業でお話したいと思います。

■お金を儲ける(利益をあげる)にはどうすれば良いでしょうか?

まずスループットについて説明します。
スループットとは、売上高から、資材費(原材料)を引いたものです。

お金を儲けるのは、このスループットを増やし(最大にする)、総資産(設備、機会、在庫など)を
減らし経費(人件費とか間接費など)を減らすことです。

実際に製造業ではどのようにやるかを考えましょう。

売値が100円のA製品で材料費60円だとすると、40円が利益ですね。
これがスループットです。

この40円から、従業員の給料や、電気代、設備代を引かないといけません。

でも、40円は儲かりますから、この製品の注文は取りましょう
ということになります。

スループットを最大にするということです。
30人31脚の「全体のタイム」を良くするということです。

そして、次に、このA製品の注文をとっていくと、どこかの工程の生産能力が不足してきます。

当然ですね。これがボトルネックと呼ばれています。
30人31脚の小学1年生です。


これが制約条件です。
この制約条件に注目して改善すれば、スループットは増大して利益がでます。

このとき、注意しないといけないことがあります。
このボトルネックより前の工程に生産能力がたくさんある場合、どんどん投入することによりボトルネック前が在庫の山になります。
在庫の山にしないためには、在庫が溜まらないようにスタートする必要があります。

作業者の人も、自分の工程の前に在庫があれば仕事をして無ければやらないようにします。
(これを「かんばん」でおこなっているのが、かんばん方式ですね。)
この徹底が難しいですね。
日本人は勤勉ですから。

そうすれば、仕掛り在庫が減ります。
そうすると短納期の注文に対応できるようになります。

少しまとめます。

  1. スループットを最大にする。
  2. 注文の納期に対してそれを守るためにボトルネック(制約条件)工程で、いつ着手しないと
    いけないかを決めます。
  3. ボトルネックを解消するための対策をおこなう。
  4. 設備投資をする目的は必ずスループットが増えるかどうかで判断する。
  5. 出来れば、制約条件工程だけは、客先の注文単位で、それ以外は小ロットにする。
    そうすれば、仕掛かりが減る。
    仕掛が減るとリードタイムが短くなるので、短納期対応ができ、また注文が取れる。
    よい循環になります。


次回は、TOC理論を考え方にも適用する方法です。TOC理論(その2)です。






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