生産管理システムの導入
生産管理システムの導入について説明します。
生産管理システムの導入の流れ
生産管理システムの導入の流れです。
生産管理システムを「自社開発」する場合と「パッケージソフト」 を導入する場合では、若干、導入の流れが異なります。
一般的な流れです。
自社開発 | パッケージソフト |
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1.情報戦略の明確化 ・何故、何のために生産管理システムを導入するのかを明確にします。 |
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2.導入の為の組織を作る ・どのような組織で生産管理システムを導入するかを決めます。 |
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3.具体的な機能の明確化 ・生産管理システムの機能を明確にします。 |
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4.詳細な機能の明確化 ・生産管理システムの詳細な機能を明確にします。 |
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5.生産管理システムのソフトウェアベンダーをリストアップする。 ・必要な機能を持った生産管理システムのパッケージのシステム会社(ソフトウェアベンダー)をリストアップします。 |
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6.生産管理システムに必要なコストやスケジュールの決定 ・人員、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどのコストや、導入ステップ、スケージュールを決めます。 |
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7.仕様書の作成 ・プログラミングのための仕様書を作成します。 |
7.生産管理システムのソフトウェアベンダーを決定します。 ・パッケージソフトを販売しているシステム会社(ソフトウェアベンダー)を決定します。 |
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8.ソフトウェアを勉強します。 ・パッケージソフトの機能、画面、使い方などを学習します。 |
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9.ビジネスプロセスチェンジの明確化と対策の立案 ・ビジネスプロセスチェンジ(生産管理システムに現状のビジネスを適合させるために必要なビジネスの変更)を明確にして、対策を立案します。 |
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10.ビジネスプロセスチェンジの対策をおこなう。 ・ビジネスプロセスチェンジの対策をおこないます。 |
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11.プログラムの開発 ・プログラムの開発をおこないます。 |
11.必要であれば、カスタマイズをおこなう。 ・プログラムの追加や修正(カスタマイズ)をおこないます。 |
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12.生産管理システムのための情報の準備 ・生産管理システムに必要な情報を準備します。 |
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13.システムテスト ・システム側でテストをおこなう。 ・機能がきちんと動いているかテストします。 |
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14.ユーザーアクセプタンステスト ・ユーザーがテストをおこないます。 ・生産管理データが正しく作成されているかチェックします。 |
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15.取り扱い説明書(マニュアル)の作成 ユーザーの為の取り扱い説明書(マニュアル)を作成します。 |
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16.ユーザートレーニング ・ユーザーに対して、トレーニングをおこないます。 |
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17.オペレーションススタート ・実際に生産管理システムを使いはじめます。 |
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18.導入後のサポート ・生産管理システムの導入後のエラーや問題点についてサポートします。 |
情報戦略の明確化
情報戦略の明確化についてです。
生産管理システムを導入するためには、まず、何故、生産管理システムを導入するかを明確にする必要があります。
企業としての、情報戦略です。
情報を企業としてどのように使っていくかの戦略です。
企業によって、異なっています。
生産管理システムの情報戦略の例としては次のようなものがあります。
- お客の要求に迅速に対応するために、週1回の生産計画を日時の生産計画にする。
- 工場ごとに、生産計画を立てていたものを、全社で最適な生産計画を作成する。
- 他社と生産の情報をリンクさせて、最適なサプライチェーンを構築する。
- 需要予測データを取り込む。
- 全社での生産能力の最適化をおこなう。
などです。
企業の強みですね。
一般的な、生産管理システムを導入する目的としては、次のようなものがあります。
- 在庫の低減。
- 計画のサイクルタイム(リードタイム)の低減。
- 需要・受注の変動に迅速に対応する。
- スループットの向上
スループットとは、売上高ー変動費です。
収益を最大にします。
- 生産計画の精度の向上
などがあります。
とても、重要です。
導入の組織を作る
生産管理システムを導入するための組織を作ります。
生産管理システムは、一部の工場内でおこなうよりも、全社及び、業者、外注先などの最適なサプライチェーンをおこないます。
そのため、工場内だけではなく、全社、他社を巻き込んで、生産管理システムを導入する必要があります。
広範囲の人材の参加が必要です。
例えば、
- 各工場の生産管理部、資材購買部、出荷・倉庫管理、製造部などです。
- 本社
- 事業所・営業所
- 資材の業者
- 必要であれば、顧客・代理店・業者
などです。
パッケージソフトを導入する場合は、上に加えて、ソフトウェアベンダー、コンサルタント会社などが、組織に加わります。
一般的には、生産管理システムの導入のプロジェクトでは、タスクフォースなどを作ります。
実際の業務をもって、プロジェクトに参加します。
プロジェクトリーダーは、プロジェクトに100%担当になります。
プロジェクトの担当者は、業務とプロジェクトを兼務します。
プロジェクトへの進行によって、プロジェクトの仕事の割合が、変わってきます。
プロジェクトの担当者は、業務の上司とプロジェクトの上司を持つようになります。
上司はプロジェクトの担当者のワークロードを考えないといけません。
具体的な機能の明確化
「生産管理システム」の具体的な機能の明確化をおこないます。
情報戦略や導入する生産管理システムの目的などからビジネス形態や現状の仕組み、将来像を考えて生産管理システムの具体的な機能を明確にします。
次に、詳細の機能を明確にします。
これらの機能の詳細は、データベースに入力しておいた方がよいです。
自社開発する場合は、このデータから、詳細な仕様書を作成します。
そして、自社開発で開発したシステムやパッケージソフトのシステムテスト、ユーザーアクセプタンステストは、このデータベースの機能を使っておこないます。
導入に必要なコストやスケジュールの決定
生産管理システム導入に必要なコストやスケジュールの決定をおこないます。
生産管理システム導入に必要な、人員、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどのコストや、導入ステップ、スケージュールを決めます。
■1.必要なコスト
●自社開発であれば、開発に必要な、コストを明確にします。
- 仕様書の作成人員
- プログラムの開発人員
- ハードウェア
- ソフトウェア
- コンサルティング
などのコストです。
●パッケージソフトを導入する場合でも、コストを明確にします。
導入時のコストです。
- 人員
- ハードウェア
- パッケージソフトウェア
- コンサルティング
- アドオン(追加のソフトウェア開発)
などです。
●導入後のコストも明確にします。
- トラブルシュート
- ライセンス費用
- 保守費用
- 修正、改善費用
などです。
2.導入ステップと導入スケジュール
生産管理システムを導入するには、範囲を明確にする必要があります。
例えば
- 工場単位で導入するのか。
- 製品群で導入するのか。
- 1度に全部門で導入するのか。
- 1度に全社で導入するのか。
などです。
範囲が決まったら、どのようなステップで導入するのかを明確にします。
通常では、プロトタイプで、小さいレベルで導入します。
システムのバグの修正や機能追加などをおこない、大きいレベルで導入します。
その方がリスクが少なくなります。
ソフトウェアベンダーの決定
生産管理システムのソフトウェアベンダーの決定をおこないます。
生産管理管理システムのパッケージソフトを選択・決定する場合、一般的には、次の事項を検討する必要があります。
- 情報戦略にあっているシステムか。
- システムコンセプトがわかりやすい。
- 要求事項を満足しているか。
- 導入価格が適切か
(ハードウェア、ソフトウェア、コンサルタント、アドオン(追加のソフトウェア)などの費用)
- 導入後の維持コストが適切か
(トラブルシュート、修正、改善、ライセンス、保守などの費用)
- 画面などのシステムがわかりやすく、使いやすいか。
- 自社の生産活動をカバーできるか。
- 過去の導入実績はどうか。
- 導入時、及び、導入後のサポート体制は十分か
- 導入した場合、現在・将来の製品種類、在庫、受注数量で処理能力、レスポンスタイムは十分か
- レポーティングツールが、適切に精度よくサポートされているか。
- オペレーションに必要な情報、エラーコードが適時に表示されるか。
- コンサルタント、プログラマの質は十分か。
などです。
一番、重要なことは、パッケージソフトのベンダーが、最後まで面倒を見てくれることです。
もちろん、適切なコストでです。
●「生産管理システムとは」の関連ページです。
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